Phillipson De Luxe P60-5/8

 Phillipsonのタバコグラスモデルのたぶん一番古いタイプ、と思うのを夏頃手に入れてました。タバコグラスモデルでは結構あるんだけれど、これはレギュラーからファーストに寄ってるテーパーデザインです。若干だけティップ側が長い、まあワン&ハーフっちゅう感じのブランク。ちょうど、スーパーストライクのFO-60に似た感じのロッドですねぇ。それよりは、バットにパワーがあるのでこれは使いやすいや。よく考えると、この手のブランクが出てきたのは、50年代後半のことで、軽く見積もって40年前のモノが今も使えるって言うことは、結構凄いことなんじゃなかろうかと思うのです。テムジンを3年使い続ける気にはならないことを考えれば、コストパフォーマンスもライフサイクルコストもまずまずというところかと思います。

ピンが手前にあっちゃってるから極端にファーストに見えますが、上の写真のブランクの長さやフェルールの位置を考えてもらえば、そうじゃないことは簡単に解ってもらえますね。

このロッドは、モデル名が示すとおり6feetで5/8ozということですので、TOPで使うにゃ1ozまでいけますな。そんなわけで、使い勝っても申し分なしなのねぇ。

オイラの場合基本的に、ほしいフィリップソンを手に入れるためには金に糸目はつけないことにしているが、ここのところそんなに高額でなくても購入できるようになってきたのが嬉しいね。国内で転売を考える人にとっては、コンディションが最重要事項のようですが、私のように眺めて撫でてさすってってタイプのマニアにとっては、キャスティング時に気持ち良いかどうかが一番重要なのです。この辺は、万人に理解されるモノでないことは、百も承知ですが本物に浸る楽しみは、若いうちに身につけるべき事項だとオイラは考えております。

そんなオイラは、以前からフィリップソンのこのツルンとしたグリップが付いたモデルを、一度は使いたいモデルだと思っておりました。

というよりも、このグリップはどのようにリールを固定するのか非常に疑問に思っておったわけですが、なーになに単純なモノでした。上からドライバーでチャックを締め付けるだけでした。ただこの単純な構造が、以降出てくるモデルと比べ、非常に軽く仕上がることになるのです。

おかげで、リールを固定するのにマイナスドライバーがいるわけですが、50年前の当時ベイトリールはほとんどがダイレクトで、マイナスドライバーで簡単に分解できるモノでしたから、当時はみんな持ってたんじゃないかなぁと思いますがどうでしょうかねぇ?昭和で30年前後のことは、オイラには正直さっぱり解りません。

話は変わりますが、フィリップソンの良さはブランクだけだと思っている方が非常に多いのですが、これは大間違いで粘りやパワーだとか投げ心地とか言うところでは、フェザーウエイトとかブローニングとか良い物はいくらでもあります。ただ、これらのメーカーに明らかに欠けているのは、職人気質の元でしかできないプロダクツなのです。その最たる物はフェルールです。

単純に使うことを考えたばあい、スチールのフェルールの最高峰はフェザーウェイトですが、これが出てくるのは60年代半ばまで待たなきゃなりません。50年代のロッドメーカーが群雄割拠していた頃、フェルールはメーカーが各自で作っていました。そんな中、フィット感が最高で抜き差しが完璧なモノは、フィリップソンだと思うわけです。

特にすばらしいのが雄の方で、上の写真ではわかりにくいですが、しっかり1インチ強差し込んだ後、ゆるーいテーパーでピタッと止まるようになっています。このため、長年使っても緩みにくいのですね。

ちなみに、フィリップソンでデラックスと言えば、ブランクカラーはこの手のクリアーか赤塗装が多く、スレッドカラーは決まって黒です。しかも、この写真の左端と同じ巻き方がすべての箇所でされています。そういえば、フィリップソンでは、カスタムモデル以外でダブルラップは見たことがないですねぇ。