ABU SVANGSTA 333
グリーンボディーの444の頃、その廉価版として333なるスピニングが存在します。カーディナルとして出てくる頃のサイズ違いのモデルナンバーではなく、単純なる廉価版でサイズも444と共通。ボディーの各パーツもだいたい共通です。スエーデンからいらっしゃいました、70年代のリールでございます。
444,333共に、シマノでいうところの3000番か4000番といったところで、シーバス辺りに使うにゃぁもってこいのサイズ。死に糸の多いスプールなのだが、スプール径が大きいので飛距離は出る。
モデルナンバーのプレートは、シールタイプに変更されている。いまいち風格に掛けるが、アンバサダーのモデルナンバーはシールになった頃のシールよりは厚手。
で、どこが廉価版かというと、まずはスプールがプッシュボタン式ではなく、ねじ込み式の樹脂製に変更された点。この部分は、基本的リヤドラグのリールなので変更されても動作には影響が無く、プッシュ式より部品点数が減るので望ましいと、個人的には思っている。スプールの交換もクルクル回せばよいだけなので、これといった違いは感じられない。
欠点は、一度ドラグを目一杯締めないと、スプールをキッチリ固定できないので、スプールを変えるたびにドラグテンションを気にしなければならない点だろう。
もう一点のコストダウンは、プレスで作られたハンドル。ノブ自体に大きな変更は感じないが、見た目にもハンドルの質感はいまいち。ただ、以前のモデルのノブがたためる仕様は、私自身は弛みやすいのであまり好きではなかったので、これはこれで良いような気がする。
ローター周りは、パーツから何から色と塗装が違うだけで皆一緒。たぶんオイラのリールだけの問題だと思うのだが、ラインローラーが回らない。なぜに?
もう一点コストダウン策なのかなと思われる部分を、強いてあげるならこのメインとなるギヤだろう。444まではラチェットギヤが1枚で構成されており、歯面のカット以外にラチェットのカットも行われていたのだが、ラチェットをプレス板にすることで、マシンカットの行程が一回減っているわけだ。ちなみに下の写真が、444のもの。
歯車の歯は、内側が333では切りっぱなしだが、444は揃えてある。たぶん、これもコストダウンの一環だったのだろうと推測している。
組上げてしまえば、3だか4だか一見わからないくらい、他のパーツは共通である。全モデル共通だが、回転部分にボールベアリングは一切使用されず、全て精度の高いブロンズブッシュで作られている。このためパーツ寿命が長く、潮にも強いわけである。
分解容易な部分も魅力の一つかと思う。
分解する楽しみとメンテナンスがしやすいことがいい。1,2台パーツ取り用のリールを用意しておけば、機械的にも長く使える。このシリーズは、後のカーディナルよりも数段お薦めできる。